遮熱塗料の標準化について

「遮熱塗料の標準化」

標準化ってなに?

3月5日(土)14:00-15:00 BSフジにて放映された「みんなが得するビジネス講座」という番組で、標準化の話が面白くかつ分かり易く説明されていました。

標準化の始まりは、アメリカのある街で大火事が発生した時に、周辺の街から多数の消防車が応援に来たのに、消防ホースの接続方法が統一されていなかったために、全く役に立たず大惨事になってしまったことがきっかけとのことでした。

遮熱塗料の標準化(その1)

高日射反射率塗料の性能の肝である日射反射率を測定する方法は、JIS K 5602「塗膜の日射反射率の求め方」で規定されています。そして、この規格を元にISO 22969「Paints and varnishes-Determination of solar reflectance」が定められています。

遮熱塗料の性能の殆どは、日射反射率に依存しているのですが、世の中には熱を伝えない断熱塗料とか、熱を放射して冷やす放熱塗料とか、熱を消してしまうという消熱塗料など、使用者に対して混乱や不信感を与えている可能性があると思われます。

遮熱塗料の標準化(その2)

そのような混乱を解決するために、塗膜を通過する熱エネルギーを熱流計で総合的に測定する方法が考案され、JIS K 5603「塗膜の熱性能-熱流計法による日射吸収率の求め方」という規格で客観的かつ論理的に測定できるようになりました。

一般社団法人 日本塗料工業会では遮熱機能とは「日射反射機能」・「断熱機能」・「放熱機能」の総和との認識のもと、JIS K 5603による日射吸収率の測定を行った遮熱塗料の登録制度を行っていますが、日射反射機能以外での申請は皆無ということです。裏を返せば、断熱機能と放熱機能だけでは日射吸収率を抑えることができないということです。因みに、熱を消すという消熱塗料は物理学上あり得ないことであり、審査の対象にもなっていません。https://www.toryo.or.jp/jp/anzen/reflect/reflect-leaflet-2021.pdf

(一般社団法人 日本塗料工業会の関連ウェブサイト)

「みんなが得するビジネス講座」でグリーン建材②として高日射反射率塗料が紹介されていました。尚、グリーン建材①は節水トイレでした。

JIS K 5603は日本独自の規格ですが、もしISO規格にできれば世界的な標準化を図ることが可能になり、遮熱塗料を世界に広める絶好のチャンスとなり得るかも知れません。

いろのはなし – 色の見えるしくみと遮熱塗料

今日は、色の見えるしくみと遮熱塗料を考えてみましょう。

モノが見えるには光源必要

真っ暗な世界、光のない空間では何も見えません。
夜になると、車の色や道を歩いている人が見にくくなる事からも分かりますね。また、真っ暗な部屋では色も形も何もかもが見えない。皆さんも経験があるでしょう。つまり、私たちがモノやその色を見るためには光(光源)が欠かせないのです。

光が反射して初めて色が見える

光源からの光(太陽、蛍光灯やLEDの光など)が物体を照らすと、物体の表面ではその光の一部を吸収し残りを反射します。反射された光が私たちの目に入ると、それが情報として脳に伝わります。脳がその情報を受け取ると、はじめて私たちは「モノを見た」と感じるのです。そうです、実は光が反射したモノを見せられているとも言えるのです。

ニュートンが発見した「分光」とは

太陽の光をプリズムに通すと、虹のような色の帯ができることをご存知の方は多いでしょう。このことを発見したのは、万有引力を発見したニュートンです。この色の帯をスペクトルと呼び、光をスペクトル(波長成分)に分けることを「分光」といいます。
スペクトルは赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の順に並んでいますが、これはそれぞれの波長の長さが違うために生じる現象です。私たちがモノや色を見るために必要な光は、380~780nm(ナノメートル・10億分の1メートル)という範囲の電磁波で可視光波長領域ともいいます。この光は、性質の違いによって、大まかに短波長、中波長、長波長の3つにわける事ができます。

  • 私たちは、短波長が多い光を見た時に「青い」と感じます。
  • 中波長が多いと「緑」を感じます。
  • 長波長が多いと「赤」を感じます。

例えば光がリンゴにあたると、リンゴの表面では短波長(青)の光と中波長(緑)の光が吸収され、長波長(赤)の光が多く反射されます。この長波長(赤)の多い光が目にとどくことで、私たちは目の前にあるリンゴが「赤い」と感じるのです。

実は光が反射したモノを見せられている
実は光が反射したモノを見せられている

弊社では、遮熱塗料を製造販売しておりますが、一般塗料と同じ色相に配合設計しております。故に380~780nmの光の反射は同じです。ここで反射に違いがあると私たちの目には異なった色相と感じてしまうのです。

 

しかし、遮熱塗料は780nm以降の近赤外線波長領域で大きく光を反射し、塗膜への熱エネルギーを低く抑えているのですよ。

屋根塗替えのタイミングと塗料の耐久性

一般的に塗替えのタイミングとして、チョーキングという現象(指で塗膜をなぞると塗料の粉が付く現象)がありますが、屋根の場合は自分で確認できるものではありません。そこで、今の建物が築何年なのか、前回の塗り替えから何年経ったのかをうっすらと覚えておく必要があります。今回が2回目の塗り替えの場合、前回に塗った塗料の種類によって塗替え時期が異なりますので、下記を参考にしてみてください。

チョーキングイラスト/無料イラストなら「イラストAC」

各塗料の耐久性の目安

  • ウレタン系樹脂塗料:7~9年
  • シリコン系樹脂塗料:10~12年
  • フッ素系樹脂塗料:10~15年
  • 無機塗料:15~20年

初めての塗り替えの場合も、2回目以降の塗り替えの場合も、まずは10年を一つの目安にプロに点検をお願いしてみるのもいいかもしれません。

チョーキングの判定方法

チョーキング(白亜化)とは仕上塗材表面の樹脂分が劣化し、充填材が離脱しやすくなり表面が粉末状になる現象ですが、その程度はJIS K 5600-8-6 に規定されている方法によって評価できます。
塗膜表面に貼り付けた透明な粘着テープを剥がし、テープに付着した微粉を、微粉が目立つ背景色の上で目視で観察し、標準図版と比較して等級を判定するというものです。

当社の塗料に使用している樹脂には、アクリル、ウレタン、シリコン、無機、MMA、ポリウレアなど多岐に亘っています。いずれの樹脂も永久に劣化しないわけではなく、使用目的や予算によって使い分ける必要があります。
永遠に劣化しない安価な樹脂があれば良いのですが。

外壁塗装の塗料の色の選び方・色で耐久性の違いが出る?

色と反射率の関係について

以前のコラム (遮熱塗料で一番効果の高いのは何色?)で遮熱効果が一番高い色は白だとお話をしました。

とはいえ、周りの家との兼ね合い、コーポレートカラーなどの理由で、屋根の色はどうしても濃い色を選ばないといけないこともあります。
そんなときは、「現状の屋根の色と同じか、それよりも少し薄い色」をおすすめします。前回のコラムでも話したとおり、色が持つ反射の力は大きいので、現状の屋根の色よりも濃い色で塗り替えてしまうと、十分な遮熱効果を発揮できない可能性があるので注意しましょう。

世の中の屋根の色はなぜ黒が多いのでしょう?

一般的に、戸建て住宅の屋根は暗い色が多いイメージです。屋根材メーカーが多くの色のラインナップを取り揃えていますが、実際に目にするのは黒や茶色などの暗い色がほとんどです。
これまで何度も「屋根の遮熱をするなら白色が一番!」「なるべく薄い色で!」などと偉そうに申し上げてきた私も、じつは家を建てたときに選んだ屋根の色は、漆黒でした(せめてもの抵抗で、遮熱仕様にはしましたが…)。黒を選んだ理由は、「デザイン性」と「汚れの目立ちにくさ」です。戸建て住宅の屋根は人目につくため、外壁の色とマッチしていなかったり、汚れていたりするとすぐ噂になります。当時、屋根の色を何色にしようかという打合せの折に、ハウスメーカーの担当者が「なるべく薄い色の方が遮熱性は…」と話してくれましたが、遮熱性や遮熱塗料メーカーに勤めるプライドよりも周りの目を重視する私は、屋根の色選びで迷うことは一切ありませんでした。戸建て住宅の屋根に暗い色が選ばれる理由は、私と同じような理由が多いのではないでしょうか。戸建て住宅はやはり外壁が華なので、屋根は外壁を邪魔しない暗い色が多く選ばれる傾向にあると思います。

白い屋根で遮熱以外のメリットは?

屋根の勾配が緩やかで、屋根の色が人目につかないような建物には、何度も言いますが白色をおすすめします。特に金属屋根の場合は、熱による屋根の伸び縮みが無くなるので、夏場の屋根の音鳴りが治まる事例も報告されています。屋根の度重なる熱収縮は屋根部材の劣化を早めますので、遮熱塗料は室温低減や空調費削減のみならず屋根の寿命を延ばすことにも繋がります。

塗料の色で耐久性に違いは出る?

塗料の耐久性は樹脂の種類(ウレタン、シリコン、フッ素など)で大部分が決まるので、同じ種類の塗料で色によって耐久性に差が出るということはほとんどありません。しかし、色によって色褪せが目立つ色と目立たない色があります。一般的に色褪せが目立つ色は鮮やかなものが多く、赤、紫、黄、緑が当てはまります。特に赤はよく色褪せ、東京タワーも5年に1度の周期で塗り替えているようです(最近は塗装仕様の変更で7年周期に延びたとのこと。素晴らしい!)。逆に、色褪せが目立たない色は、白、黒、青が当てはまります。

塗料を選ぶ際は、色褪せしやすいかどうか、というポイントも抑えて色を選んでみてください。

 

遮熱塗料で一番効果の高いのは何色?

前回のコラムでも少し触れましたが、遮熱効果が一番高い色は白色です。

遮熱塗料が一般塗料と大きく異なる点は、太陽光の目に見えない光の波長を反射することです。しかし、目に見える光(色として認識できる光の波長)は色でしか反射できず、じつは反射を色に頼る部分も大きいのです。したがって、同じ遮熱塗料でも色によって遮熱効果は大きく異なります。「外壁がクリーム色だから、屋根は濃い茶色かな…」「ラッキーカラーが青色だから」など、屋根の色を決める基準は様々だと思いますが、遮熱効果を重視する場合はできる限り薄い色で塗っていただくことをおすすめします。

太陽光を効率よく反射する色とその理由

では、色の見え方について少し掘り下げてみます。

私は小学校5年生ぐらいまで、白黒写真を見て「昔は白と黒しかない世界だったのか。色を発明した人に感謝だな」と本気で思っておりました。しかし、当然のことながら実際は今も昔も世の中は色で溢れており、色は私たちの目を楽しませてくれ、生活を豊かにしてくれます。ちなみに、カラー写真は1970年代から普及しはじめたようです。写真のカラー化に尽力された方々に感謝ですね。

話が逸れましたが、私たちは色をどうやって認識しているのでしょうか。

真っ暗な田舎道の郵便ポストを思い浮かべてみてください。

車のライトでポストを照らせば、赤色がはっきりとわかります。しかし、明かりも何もない状態でポストに近づいても色はわからず、月明かりで少し茶色っぽく見えるかもしれません。つまり、物体の色は十分な光を浴びないとわからないのです(テレビなど、自ら光を発しているものは除く)。ポストが赤く見える理由は、ポストに光が当たったときに、ポストが赤色の光だけを反射し、赤色の光だけが私たちの目に入るからです。それ以外の反射されなかった光はどこに行くのかというと、物体に吸収され、熱に変わります。

普段から何気なく見ている色が、どのような過程を経て認識されるかについて考えるのも面白いですね。周囲が暗いと色がわからない感覚は幼いころから持っていましたが、光の反射を受けて色を認識しているという感覚はありませんでした。光を反射している色ほど白く見えるため、遮熱塗料もより白色に近い色を選ぶことで高い遮熱効果を得られます。逆に、黒っぽく見える色は光を吸収して熱くなってしまうので、暑さ対策をしたいときはできるだけ白色を選びましょう。

遮熱塗料を屋根に塗る効果について

遮熱塗料 どこに塗るのが効果的?

遮熱塗料は、太陽光を反射して温度上昇を抑制することができる特殊な塗料です。
太陽光を浴びる時間が長ければ長いほど、それだけ遮熱効果も期待できます。
それでは、どこに塗るのが一番効果的でしょうか。
一日中太陽光を浴び続ける場所、、それは、建物の屋根です。

建物の屋根
倉庫の屋根に遮熱塗料を使うことで暑さ対策が可能

屋根は高い所にあり、太陽光を遮るものが無いため、遮熱塗料を塗るには絶好の場所です。
また、屋根は常に太陽光や風雨に晒され続ける過酷な場所であり、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
遮熱塗料は錆止め効果や延命効果(耐久性)も兼ね備えているため、屋根に遮熱塗料を塗ることで建物の資産価値を高め、効率の良く暑さ対策も出来てしまいます。
このように、遮熱塗料 × 屋根というのは非常に相性が良く、「どうせ塗るなら遮熱塗料」という風潮がここ最近強まっているように思えます。

 

室温はどのくらい下がる?

建物の構造や建物内部の環境にもよるため一概には言えませんが、目安として「外気温+1~2℃程度」にまで下げることは可能であると言えます。


夏場に外から帰ってくると部屋の中が「モワ~っ」と暑く感じることがありますが、その「モワ~っ」が無くなるイメージです。
塗装だけで室温が外気温よりも低くなるということはありませんが、「モワ~っ」を無くした状態からエアコンで冷やし始めるだけでもエアコンは無駄な力を使わずに済み、何よりエアコンの効きが格段に上がります。

屋根の色は何色を選ぶのが良いの?

突然ですが、、
真夏の昼下がり、営業マンのあなたは汗だくで外回りを終え、会社に戻る途中に誰もいない灼熱の公園を横切りました。そこには、白いベンチと黒いベンチがありました。あなたならどちらのベンチに座りますか?

正解は「ベンチになど目もくれず即帰社」ですが、どちらかに座らなければならないとしたら、私は直感的に見た目が涼しそうな白いベンチを選ぶと思います。
この感覚は正しく、色は薄いほど光を反射し、濃いほど光を吸収し熱を帯びます。
塗料も例外ではなく、白色を塗れば遮熱効果は高いのですが、濃い色を塗った場合は光を吸収してしまうので、あまり遮熱効果は期待できません。
屋根は外壁よりも人目につきにくいため、白色が採用されるケースが多いです(戸建て住宅を除く)。

塗料の色

しかし、塗装した屋根に建物が隣接していると、場合によっては白色を塗った屋根の照り返しで眩しく感じてしまうケースもあります。
そこで、少し色をつけて眩しさを和らげることがあるのですが…
色の話は次回のコラムで!

 

外壁塗装について

皆さんは、ご自宅の「外壁塗装」について、どうお考えでしょうか。

外壁塗装

  • 多少は汚れてきたけど、まだ大丈夫
  • ひび割れて見栄えが悪くなってきたら考えよう
  • 今の家で不自由なく暮らせているから、当分塗装する気はない
  • 塗装するお金があったら、美味いものでも食べに行きたい

いつかはやらないといけない、避けては通れない道であることは理解していても、「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせ、何かと後回しにしてしまっている方も多いと思います。
しかし、外壁のメンテナンスを怠ると、建物の寿命を縮めてしまうことになりかねません。「汚れていないから大丈夫」ではなく、塗り替えのサインを見逃さずに早めに対処することが大切です。

そもそも、塗料の耐久性はどのくらい?

外壁塗装の耐久性

塗料は、使われている樹脂のグレードによって耐久性が決まります。樹脂ごとの耐久性の目安は、以下の通りです。

  • アクリル系樹脂塗料:5~7年
  • ウレタン系樹脂塗料:7~9年
  • シリコン系樹脂塗料:10~12年
  • フッ素系樹脂塗料:10~15年
  • 無機塗料:15~20年

前回は何系の塗料を塗り、塗装から何年経過しているのかを把握しておくことが、塗り替え時期を見極める第一歩となります。

外壁の劣化はどこを見ればいいの?

外壁塗装 見方 チェック

上記の目安がわからなかった場合も、外壁の状態を見て判断できることがあります。その中には、目視で確認できるものと、触ってみないとわからないものがあります。

汚れ(ホコリ、コケ、カビ)

汚れた外壁は見た目が悪いため、塗り替えを考え始める一番のきっかけになるかもしれません。劣化した塗膜は薄くなり、表面が凸凹に荒れて汚れが付きやすくなります。汚れていることは見栄えの問題だけではなく、塗膜が劣化しているサインでもあるのです。

また、コケやカビなどの特殊な汚れは、塗膜の状態に関わらず環境によって付着してしまう汚れです。周囲に植物が多い、日が当たらないなどの条件は、カビやコケが育ちやすい環境です。こうした環境下では、たとえ塗り替えてもまたすぐに発生してしまう可能性が高いので、カビやコケが育ち難い塗料を選定するなど対策が必要です。

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外壁塗装 汚れ カビ

クラック(ひび割れ)

建物は寒暖差や風、地震などの影響を受けて常に動いています。その動きを重ねることで外壁にも力が加わり、小さなクラックが発生します。
小さなクラックからも水は浸入するので、放っておくと雨漏りに繋がります。そして、水は建物を構成する木を腐らせ鉄筋をサビつかせるため、建物は内面からジワリジワリと蝕まれていくのです。クラックが小さく浅いうちはダメージも少ないので、今のうちに対策を考えておくことがおすすめです。

外壁塗装 クラック

チョーキング

一見、綺麗な外壁に見えても、塗膜を触ると塗料と同じ色の粉が手についてしまうことがあります。これをチョーキング(白亜化)といい、紫外線や風雨に晒され続けた塗膜が劣化した状態です。チョーキングした塗膜は耐久性を失っているため、早めの塗り替えが必要です。

外壁塗装 チョーキング

塗り替え費用を援助してもらえるかもしれません

そうは言っても、やはり塗装にはお金がかかります。
そこで、自治体によっては「助成金・補助金」という形で、工事の費用を少し手助けしてくれるところがあります。お住まいの地域によって受給要件が異なりますので、是非一度確認してみてください。

外壁塗装 助成金 補助金

助成金と補助金の違い

助成金

要件を満たせば、高い確率で誰でも受給できます。

補助金

申請後の審査に合格した場合にのみ受給でき、申請者が多い場合は抽選となります。
申請したすべての人が受給できるわけではないので、受給に関してのハードルは高めです。

助成金・補助金をもらう際の注意点

外壁塗装 助成金をもらう際の注意点

税金を滞納している方は、対象外

まず大前提として、税金を納めていない方には
助成金・補助金の受給資格はありません。

申請は、工事着工前に行う

必ず工事着工前に申請する必要があります。工事が始まってから、もしくは工事が終わってからは申請できませんので、注意が必要です。補助金・助成金がもらえる工事なのかどうかは、工事の計画段階で確認をしておく必要があります。

施工業者に条件がある場合も

施主(工事をお願いする側)だけではなく、施工業者にも条件を定めている自治体があります。自治体内に本店がある法人もしくは個人事業主であることなどです。
施工業者はどこでも良いとは限らない場合がありますので、こちらも注意が必要です。

使用する塗料が制限される可能性あり

地球環境に配慮した省エネリフォームにのみ、助成金・補助金を出す自治体もあります。
省エネリフォームで使われる代表的な塗料に、暑さ対策の遮熱塗料があります。遮熱塗料は太陽光を反射する特性を持つため、一日中日が当たる屋根に塗ることが最も効果的です。
裏を返せば、あまり日が当たらない北面の壁などに塗っても効果を発揮しません。
したがって、もし遮熱塗料を使用することが必須条件であった場合、屋根塗装は遮熱塗料、外壁は一般塗料を使うといった方法で助成金・補助金が受給できることもあります。

じつは外壁塗装と屋根塗装は同時に行うことが理想で、足場の設置が一度で済むことや、次回の塗り替えの目安も同時に管理できるなどメリットが多いのです。屋根塗装のことも頭に入れつつ、使用する塗料に条件があるのかどうかも確認してみてください。

外壁に遮熱塗料を塗った場合の効果についてはこちら↓
遮熱塗料の効果 (建物に塗装した場合) | ミラクールコラム

プロに診てもらうのが一番

少しでも「ウチ、大丈夫かな?」と思ったら、まずは専門家に診てもらいましょう。
何も問題なければ安心できますし、何かあった場合は最善の方法を提示してくれます。
是非、定期的に「家の健康診断」を実施してみてはいかがでしょうか。

家の健康診断を受けてみよう

工業製品向けの焼付用遮熱塗料

焼付塗料とは

今回は塗料の塗装作業者の立場になって考えてみます。
建築物や道路に塗装作業を行う場合、塗装作業者は天気予報と睨めっこしながら、施工計画を立てなければなりません。雨が降っていれば屋外での塗装作業は勿論出来ません。また、塗料は塗装後に充分な乾燥養生時間を経て、完成した塗膜となりますので、塗装直後に雨が降ることが予想されれば、作業をすることは出来ないでしょう。道路用の塗料については速乾タイプのものもありますが、天気予報はやはり無視できません。

一方、工場の塗装ブースでの塗装作業者の場合はどうでしょうか。室内の温度・湿度管理が施されたブースで作業を行うので、天気予報を気にする必要はありません。しかし、塗装後の製品の乾燥養生はどうすれば良いでしょうか。塗装作業は流れ作業で出来ても、乾燥養生の場所を確保しなければなりません。また、乾燥養生時間は次工程に進めない為、生産効率の低下に繋がります。これらの問題を解決するため、工場の塗装ブースで多く採用されているのが焼付塗料となります。焼付塗料とは文字通り、100~200℃程度の高温で焼付乾燥をさせることが出来ます。塗料の種類にもよりますが、概ね20~30分程度の焼付乾燥で強固な塗膜が完成しますので、大規模な塗装養生場所も不要で、速やかに次工程に移ることが出来ます。

塗装ブース例

焼付塗装 塗装例

焼付用遮熱塗料

遮熱塗料の多くは建築物、道路に施工されてきたことが多いのですが、近年では配電盤筐体への施工実績も多くなってきています。配電盤内に組み込まれている電子部品は発熱しつつも、自らは熱に弱いという性質があります。それに追い打ちを掛けるように、夏場の太陽光は配電盤筐体を激しく熱します。このような配電盤筐体に遮熱塗料を塗装することで、盤内の温度上昇を抑制し、電子部品の劣悪な環境を改善することが期待出来ます。大型の配電盤になると空調機によって温度管理をしているものもあるくらい、盤内の温度上昇を抑制することは大きな課題となっているのです。配電盤筐体は工場の塗装ブース内で焼付塗装されており、ここに焼付用の遮熱塗料が採用されているのです。

その遮熱効果はどの程度あるのでしょうか。小型の配電盤筐体にランプ照射を行い、遮熱塗料の効果を計測したものを下記に示します。同色の一般的な焼付塗料と比較した場合、天板裏面で約15℃、筐体空間内で約5℃の温度低減効果が確認出来ました。配電盤の多くは鉄製であり、塗装仕上げは必須工程となります。つまり、特別に製造工程を追加しなくても今まで使っていた塗料を変えるだけで、高性能な配電盤筐体を製造することが出来るのです。


ランプ照射による遮熱塗料と一般塗料の温度測定結果:色5Y7/1

焼付用遮熱塗料「工業用ミラクール」はこちらから
工業用製品|ミラクール

粉体塗料

焼付塗料のひとつとして粉体塗料があげられます。文字通り粉末状の塗料であり、静電気で被塗物に付着し、焼付乾燥されるものです。粉体塗料は環境対応型の塗料とも呼ばれています。一般的な焼付塗料に含まれる有機溶剤(VOC)が含まれていないこと、また被塗物に付着しなかった塗料を回収・再利用できるので、材料ロスが少ないことがその要因として挙げられます。塗料技術としては比較的新しいイメージを持たれることが多いのですが、日本では約50年の歴史があります。製造方法は液体型の塗料とは全く異なり、ペレット成形したものを所定の粒度に粉砕していくという方法がとられています。そのため、一般的な液体塗料と比較すると、少量生産や短納期への対応が難しくなっています。
それを差し引いても、塗装作業に熟練を要さずに厚膜を得られやすいという性質は高く評価されています。

粉体塗料「ミラクールP01」はこちらから
ミラクールPO1|ミラクール

最近の新用途

遮熱塗料は夏の暑さ対策として使用する塗料です。焼付塗料は一般的な工業製品に使われる塗料です。これらを踏まえて贔屓目に考えると、新しい用途は無限大にあると考えられます。

デジタルサイネージです。こちらも精密電子機器がたっぷりと詰まっています。今後のIT社会に向けて、より多くのサイネージが設置されていくのではないかと考えられます。灰色の部分に遮熱塗料が塗られています。

モニュメントです。公園の入り口付近に設置されているものですが、子供たちが手を触れても熱くないように配慮されています。全面に遮熱塗料が塗られています。

アルミ製カーテンウォール外壁に遮熱塗料が塗られています。この建物はゼロエネルギービルです。

工業製品向けの焼付用遮熱塗料に関するお問い合わせは、株式会社ミラクールまでお気軽にお寄せください。

遮熱塗料の効果 (建物に塗装した場合)

遮熱効果はどの程度あるの?

遮熱塗料を塗装するとどのような効果があるの?
遮熱効果が発揮されると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。冷房空調の有無によって2ケースに分けて考えてみましょう。

遮熱塗料 サーモグラフィー

内部空気温度(室温)の低減

熱くなった屋根面の熱は伝導によって屋根裏に伝わり、その熱は対流と放射によって室内の空気温度を上昇させます。つまり、屋根面の温度上昇が抑えられれば、室温の上昇も抑えられるということです。例えば、ある学校の建物で実測した例では、施工前と施工後の最高温度差が、天井で16.6℃、室温で7.3℃もあり、十分に遮熱塗料の効果があったことが分かりました。我々が実測したデータで最高に効果が大きかったのは、室温低減が12℃の物件ですが、効果の大小は建物の構造や気象データによって様々ですので、場合によっては殆ど効果がない場合もあり得ると思います。

遮熱塗料 あり なし

図-1施工前後の温度比較(学校の工作室)
遮熱塗料 温度比較

冷房負荷の低減

1.電気使用量の削減

図-2は、同じ色の遮熱塗料と一般塗料を塗った小屋裏でエアコンの消費電力を比較したところ、遮熱塗料を塗ったことにより消費電力が32%も削減された例です。削減率は様々な要因によって異なりますので、常に32%削減できる訳ではありませんが、5%~40%削減されることが多いようです。

空調屋外機 遮熱塗料
(ビルの空調屋外機)

図-2 電気量削減の例
遮熱塗料 電気量

2.基本料金の削減

電気会社は様々な料金体系を提供していますが、工場などで採用されることの多い高圧電力用の基本料金は、過去12ヵ月で一番使用量の多かった月の使用量に一定の単価を乗じて基本料金として設定し、その単価がその後の11ヵ月にも適用されるというものです。従って、夏季の電力使用量が多い場合には、ピークとなる月が来る前に遮熱塗料を施工すれば、以後12ヶ月の基本料金が安くなる可能性があります。

(参考:東京電力エナジーパートナーのウェブサイト)

3.省エネシミュレーション(熱負荷計算)

電気料金がどの位削減されるかは、事前にシミュレーションすることが可能ですので、目安として検討されてはいかがでしょうか。

熱量計算のご案内 | 遮熱塗料・断熱塗料「ミラクール」販売 | 株式会社 ミラクール

遮熱効果の違いはどのような理由から?

塗料の違いによるもの

遮熱塗料は、沢山のメーカーが数多くの種類を製造販売しています。どのような商材にもいえることですが、同一の商材であったとしても、その性能と価格は様々です。一般的には価格が高いものが高性能で、安いものは性能が低い傾向にあるといえるかもしれません。何故ならば、高品質の製品を作るための原材料は高価なことが多く、結果として塗料の価格が高くなるからです。しかし、塗料メーカーは高性能の商品を低価格で提供しようと日々努力を重ねています。
しかし、高価格にもかかわらず、性能が低い製品もあり得ますので、要注意です。

遮熱塗料の性能

遮熱塗料の性能を大別すると2つあります。
「塗料の耐久性」と「遮熱性能」のいずれも大事なポイントですが、他には遮熱効果の持続性があります。また、塗料の明度は直接的には性能に関係ありませんが、デザインと遮熱効果に係わる重要なポイントです。

1.塗料の耐久性

遮熱塗料は熱的な特性を持った塗料ですが、塗料そもそもの機能として素材の保護と美観の維持が求められます。塗装してからどの位の期間にわたって綺麗な状態を保つことが出来るかがポイントです。安くても、直ぐに剥離や摩耗をしてしまう塗料は、結果として安物買いの銭失いになってしまうのです。塗装に要する費用は、塗料代金+塗装工事代金+足場などの仮設代金で構成されていますが、塗装に要する費用の内で塗料代金が占める割合は少なく、短期間に塗替えることは非常に高い買い物になってしまうのです。

塗料 耐久性
(耐久性に劣る塗料の例)

2.遮熱性能

遮熱塗料の遮熱性能は、①高日射反射、②高放射、③低熱伝導の3要素から成り立っています。
その内で最もその遮熱性能に影響が大きいのが、①日射反射です。太陽エネルギーの内の赤外領域を反射する性能がどの位あるのかがポイントです。JIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」では、明度に応じた赤外領域の反射率を規定しています。

  • 明度L*≦40の場合 赤外領域の反射率≧40%
  • 40<明度L*<80の場合 赤外領域の反射率≧明度L*
  • 明度L*≧80の場合 赤外領域の反射率≧80%

明度 近赤外波長域日射反射率
(出典:一般社団法人 日本塗料工業会)
塗料の色相と日射反射率の関係 |(社)日本塗料工業会

②高放射は冷めやすい度合いに関係があります。金属系素材は非常に放射率が低くて冷めにくいのに対して、塗料は概ね放射率が高いので、塗料であればあまり差が出てきません。

③低熱伝導は熱の伝導を抑える機能ですが、塗膜の厚さはミクロン単位(せいぜい1,000μm=1mm)ですので、大きな熱抵抗はありません。断熱塗料という単語は、一般の方が薄い塗膜で分厚い断熱材と同等の熱抵抗を有すると誤認する危険性があるので、丁寧な解説を加えるなど慎重に使用する必要があると考えます。


(塗料で熱伝導を抑えるためには、熱伝導率が断熱材並みに優れていたとしても、厚さが数十ミリメートル以上必要になります。)

JIS K 5602「塗膜の日射反射率の求め方」は、日射反射率の測定方法を規定していますが、2017年に新たにJIS K 5603「塗膜の熱性能-熱流計測法による日射吸収率の求め方」が制定されました。これは、①日射反射、②放射、③熱伝導などのすべての要素を総合的に熱流として測定する方法です。

一般社団法人日本塗料工業会 ではこのJIS K 5603に従って、遮熱塗料(屋根用)自主管理として登録した商品をリストアップしています。

登録申請時に(1)日射反射機能、(2)断熱機能或いは放射機能、(3)その他の機能を申告して申請する制度になっていますが、登録された全ての商品が(1)日射反射機能による遮熱効果となっています。

参考 : 遮熱塗料(屋根用)自主管理要項 一般社団法人 日本塗料工業会

厚みの少ない遮熱塗料に於いては、日射反射機能以外では遮熱性能を発揮できないことが証明された形です。

3.遮熱効果の持続性

塗料の耐久性が低ければ、当然に遮熱効果もすぐに失せてしまいます。しかし、塗料の耐久性が高くても、遮熱性能が落ちてしまうこともあります。最も大きな影響は塗膜表面の汚れです。汚れには土埃のような自然界に存在するものと、煤煙などの工場や車両などから排出されるものがあります。煤煙などに含まれるカーボンの汚れは日射を非常に良く吸収するため、いくら塗装直後の遮熱性能が高くても、カーボンが付着した塗膜の遮熱性能は著しく低下してしまいます。カーボンなどの油系の汚れは、塗膜表面に親水性(撥水性と反対の性能)を持たせると付着しにくくなります。
メーカーカタログの多くが遮熱性能の初期値を表示していますが、本当に大事なのは効果の持続性だということに留意したいものです。JIS K 5675では、2年間の屋外暴露を経て日射反射率(赤外領域)の保持率が80%以上必要と規定しています。

保持率=2年後の日射反射率/初期の日射反射率

塗料 汚れ
(塗料による汚れ方の違い。同日に白色塗料を塗装したものですが、1年後には違いがはっきりしてきます。)

4.塗料の色による違い(特に明度)

遮熱塗料は太陽エネルギーの近赤外領域を高反射するものですが、可視領域にも太陽エネルギーの約半分が含まれています。可視領域は人間が色として識別できる波長(380nm~780nm程度)です。白色に近い色の方が日射反射率は高く、黒色に近い方が日射反射率は低くなり、熱くなります。もし、近赤外領域の反射率(1-吸収率)が同じ塗料があったと仮定すると、白っぽい色を選択した方が太陽エネルギーの全波長領域での反射率が高くなり、結果として熱くなりにくくなります。遮熱塗料の色を決める場合には、色によるデザイン性と遮熱性能(近赤外領域の反射率)のバランスを考えることが必要となります。一般的には白っぽい色の方が遮熱効果は高く、かつ安価な場合が多いです。

遮熱塗料 色

建物のどこに塗装するかによる違い

遮熱塗料は太陽エネルギーが直接当たる場所に適用するものですが、費用対効果を考えながらどこに塗装すべきかを決める必要があります。

遮熱塗料 塗る場所

屋根に塗った場合

遮熱塗料(高日射反射率塗料)は太陽エネルギーに含まれる近赤外線を反射して、太陽光が当たる面の温度上昇を抑制します。従って、夏季において日射量を一番受ける水平面に遮熱塗料を塗装することが一番効果的だと考えます。屋根は水勾配があるものの、概ね水平に近い屋根であれば、屋根面に遮熱塗料を塗装することが最善の策だと考えられます。
図-3に示すとおり、東京における夏至での日射量は圧倒的に水平面で受けていることが分かります。従って、遮熱塗料を塗るなら屋根への塗装が一番費用対効果が高いといえます。

図-3日射量
方位 日射量

外壁に塗った場合

図-3を見ると分るとおり、夏季においては東壁と西壁では日射を受ける量が水平面の1/3程度ありますが、南壁と北壁では殆ど日射を受けないことが分かります。
従って、外気温が高くて西日が当たって暑くなるとの事例が多い西壁には遮熱塗料を施工する価値があることも多いです。南壁は、冬季に日射を受けて暖かくなる恩恵を受けている場合があるので、採用に当たっては慎重に検討する必要があると考えます。
建物は東西南北からずれて建っていることが多いので、建物の配置を見ながら検討する必要があります。

西日対策 外壁
(西日対策で効果を発揮した例)

建物の状態による違い

1. 屋根の構造

同一の遮熱塗料を施工したとしても、効果の大小は建物の構造に大きく影響されます。理屈は下記のとおりですが、感覚的には春秋に暑くない室内が夏季には非常に暑くなる建物であれば遮熱塗料が効果的だと考えられます。一方、夏季においても室内が暑くない建物であれば、遮熱塗料を採用する必要性はないと思われます。

① 屋根の素材

屋根の熱抵抗を小さい順に並べると下記のようになります。
遮熱塗装の効果 屋根の熱抵抗

② 断熱材

断熱材が十分に施工されている建物は熱抵抗が大きいので、遮熱塗料の必要性は低くなります。
遮熱塗装の効果 断熱材

しかし、断熱材が施されていても、グラスウール内部に水が浸入していたりすると、断熱材の性能が激減していることがありますので、もし断熱材が施されていてもなお暑い場合には、建物のチェックを行うなり遮熱塗料の採用を検討されても良いかもしれません。

③ 吊り天井

吊り天井の有無は、熱抵抗の大小に係わります。
遮熱塗装の効果 吊り天井

④ 天井の高さ

天井が高いと空気量が多くなり、基本的に室温の上昇が緩やかになります。
遮熱塗装の効果 天井の高さ

2. 窓の大きさ

窓からは多量の熱量が出入りしています。窓には単層の板ガラス、ペアガラス、LOW-eガラスなど様々な種類がありますし、ブラインドやカーテンの有無によって建物内部への侵入熱は変わりますが、窓が大きければ大きいほど建物内部に熱が入る可能性が大きいといえます。
遮熱塗装の効果 窓の大きさ

3. 内部発熱

内部発熱には大別して以下の3点が挙げられます。建物の外皮(屋根や外壁)からの影響以上に内部発熱が膨大な場合には、室温変動の原因の殆どが内部発熱ということもあります。例えば、製造機器が多量の熱を発していて冬季でも暑い場合などです。

1. 装置・機械からの発熱
2. 照明からの発熱
3. 人体からの発熱

遮熱塗装の効果 内部発熱

4. 換気量

外気の取入れが非常に多い場合には、建物内部の室温は外気温度と同じくらいに維持されます。従って、そのような建物内部は暑くならないといえます。ただし、換気が機械式ではなく自然換気の場合、無風状態では殆ど換気が行われません。
遮熱塗装の効果 換気量

5. 周辺建物の影

当たり前の話ですが、隣接する建物や樹木などが日差しを遮っている場合には、そもそも太陽光線が当たらないので遮熱塗料は不要です。
 遮熱塗装の効果 日陰 日向

建物の状態と遮熱効果の関係をまとめると表-1のようになります。

表-1 遮熱塗料の効果に与える外部因子
遮熱塗装の効果 外部因子

その他、見落としがちな大事なポイントやQ&A

冬はどうなる?

近赤外領域を反射する特性を持つのが遮熱塗料ですから、冬季には塗装した面が冷える傾向にあります。ただし、冬季には水平面に当たる日射量が著しく少なくなります。図-4を見ると分かるように、夏季と冬季の水平面に当たる日射量は圧倒的に違います。夏季の大きなメリットと冬季の僅かなデメリットを比較してどちらを選択するかだと思います。
ある論文によると、冬季においての暖房に関わる空調電気使用量に差が無かったとの報告もあります。

高日射反射率塗料の評価方法と効果について|田村昌隆 本橋健司

(参照)(高日射反射率塗料の評価方法と効果について:田村昌隆氏、本橋健司氏)

図-4 季節による日射量の違い
日射量 夏至 冬至

塗装の良し悪し

塗料は半製品です。つまり塗装されて初めて完成品となる訳です。幾ら性能の良い遮熱塗料を選定して、一番効果のある場所に塗装したとしても、施工のやり方が悪ければ期待された効果が出ないかもしれません。或いは、期待された耐久性が発揮できないかもしれません。
塗装する前には下地を十分に清掃することが肝要です。一般的には高圧水洗で十分に洗浄しますが、清掃を怠ってしまうと塗料と素材の間に異物が混入し剥離の原因になり得ます。また、メーカーの指定した所要量を守らなかった場合には、塗膜が薄くなってしまい、性能が十分に発揮されず耐久性も劣ってしまいます。
施工管理をしっかり行う塗装店に依頼することが大事です。

塗装後

アルミ塗料との違い

遮熱塗料は日射反射率が高く太陽エネルギーをよく反射します。また、反射できなかった太陽エネルギーにより表面温度が上昇しますが、長波放射率が高いので瞬時に大気中に熱を放射して、表面温度の上昇が抑えられます。図-5にミラクール塗膜の表面温度が熱くなりにくいメカニズムを示します。

図-5 ミラクール塗膜の表面温度が熱くなりにくいメカニズム
表面温度 熱くなりにくい メカニズム

一方、アルミ塗料の日射反射率はかなり高いのですが、長波放射率が低いために、反射できなかった太陽エネルギーによる表面温度の上昇が蓄積され、表面温度が熱くなります。

遮熱塗料を室外機に塗って効果はあるのか?

何年か前に、あるベンチャー企業の遮熱塗料がテレビに取り上げられました。遮熱塗料を空調機器の室外機に塗装したら冷房費が20%~30%も削減できるというものでした。そこで、空調機器のある大手メーカーに聞いてみたところ、最大でも数パーセントの削減しか出来ないはずとのことでした。
遮熱塗料 室外機
更にインターネットで調べたところ、遮熱塗料ではなく、よしずによる日よけの省エネ効果の報告がありました。大阪市中央卸売市場で、屋上にある直射日光の当たる室外機に日よけをつけたところ、電力使用料が約5%削減したという効果が出たそうです。従って、遮熱塗料を空調機器の室外機に塗装した場合の省エネ効果は5%程度だと思われます。

遮熱性舗装

読んで字がごとく、遮熱性能を有した舗装のことを遮熱性舗装と呼びます。
路面温度上昇抑制舗装研究会では新規作成供試体に対して10℃以上の温度低減効果があるものとしています。
我々が研究に着手したのは西暦2000年でした。ヒートアイランド現象や地球温暖化現象が大きく取り上げられた最初の頃だったと思います。実際に採用され始めた2004年の夏は記録的に暑くて、マスコミが遮熱性舗装を大きく報じたことが昨日のことのように思い出されます。

因みに、日本の最高気温の記録を調べるとベスト?ワースト?はこのような結果です。(気象庁の過去データによる)

順位 都道府県 地点 観測値(℃) 起日
1 静岡県 浜松 41.1 2020年8月17日
埼玉県 熊谷 41.1 2018年7月23日
3 岐阜県 美濃 41 2018年8月8日
岐阜県 金山 41 2018年8月6日
高知県 江川崎 41 2013年8月12日
6 静岡県 天竜 40.9 2020年8月16日
岐阜県 多治見 40.9 2007年8月16日
8 新潟県 中条 40.8 2018年8月23日
東京都 青梅 40.8 2018年7月23日
山形県 山形 40.8 1933年7月25日

アスファルト舗装

舗装に最も多く使われている材料はアスファルト混合物です。アスファルト混合物は粗骨材、細骨材、フィラーおよびアスファルトを所定の割合で混合した材料です。アスファルトには優れた性能がたくさんあるのですが、色が黒いために太陽光線を吸収して非常に高温になります。都市部の道路率は約20%もあり、黒くて熱い道路はヒートアイランド現象の要因の一つとして挙げられてきました。

遮熱性能

太陽光線中の特に近赤外線領域を反射する性能によって、太陽が当たる物体の温度上昇を抑制する機能を遮熱性能といいます。道路には白線がありますので、余り白っぽい道路にすると白線の視認性が悪くなりますので、道路は黒っぽくする必要があります。そういう訳で、車道に使われる遮熱塗料は濃いグレーにしていますが、人間が見えない近赤外線を反射しているので、夏場でも余り熱くならない仕組みです。

日商反射律の比較グラフ

人間には見えないけれど、太陽エネルギーの約半分を占めている近赤外線を効果的に反射することがポイントです。

遮熱性舗装の目的は?

遮熱性舗装には様々なメリットがありますので、ひとつずつ確認してみましょう。

ヒートアイランド対策

環境省によると、100年間の日本の平均気温上昇が1.5℃に対して東京の平均気温上昇は3.3℃にもなっており、約2倍にも及んでいます。この差はヒートアイランド現象によるものだと考えられています。また、他の主要な都市でも同様傾向が見られるとのことです。東京以上に暑さを感じる大阪や名古屋に限らず、長野市や仙台市でも同様の傾向があるとのことで、ヒートアイランド現象は大都市だけの問題に限ったものではないようです。
2018年は全国的に猛暑日が多く、熱中症による搬送者数は過去最悪の98,137人に達したそうです。そして死者数は160人にも及んでいます。
2019年は猛暑日が少しだけ減り、搬送者数は71,317人、死者数は126人と減少しましたが、地球温暖化由来といわれる気候の変動により、毎年のように熱中症による被害者が後を絶ちません。

では、遮熱性舗装でどの程度ヒートアイランド現象の対策になるのかですが、関連する論文から抜粋してみたいと思います。

東京23区内の道路用地に遮熱性舗装を施工した場合、舗装のアルベド増と表面温度が低下したことに起因して、都心部の大気温度は低下、気温低減効果が認められる

東京23区内の道路用地に遮熱性舗装を施工した場合、舗装のアルベド増と表面温度が低下したことに起因して、都心部の大気温度は低下し、正午には0.8℃以上、午後2時でも0.6℃以上の気温低減効果が認められるそうです。
(計算条件)

  • アルベド14% → 60%へ増加
  • 夏期晴天日を想定

(引用)第25回日本道路会議論文 2004年 木内氏他

アルベド(albedo)とは、天体の外部からの入射光に対する、反射光の比である。反射能(はんしゃのう)とも言う。0以上、1前後以下(1を超えることもある)の無次元量であり、0 – 1の数値そのままか、0 % – 100 %の百分率で表す。
(出典:ウィキペディア)

快適性の向上

遮熱性舗装によってその上を歩行する人間や、周囲に与える影響はどうなのでしょう?最新の論文によると、次のような利点が挙げられています。

    • 再帰性反射の大きい遮熱性舗装は、人体が吸収する舗装からの水平直達日射の反射量を低減する効果がある。
    • 舗装の路面温度が歩行者の熱環境に影響を及ぼし、路面温度の低下が歩行者の熱環境改善に寄与する。

(参照)第32回日本道路会議(2017年)田中氏他

また、多くのアンケート調査が実施されていますが、その全てにおいて快適性の向上が確認されています。

遮熱性舗装による路面温度の低減効果により、全身及び足元部で「暑い」と回答する割合が低下し、とりわけ全身よりも足元部で違いを感じるようです。

(参照)第27回日本道路会議(2007年)井上氏他

我々も日本及びシンガポールで遮熱性舗装だということを告げずにアンケート調査を行いましたが、いずれも遮熱性舗装上が一般舗装上より暑熱感が減少する結果という結果となりました。

シンガポールのZEBの敷地に塗装された遮熱性舗装

(写真)シンガポールのZEB(ゼロ エネルギー ビル)の敷地に塗装された遮熱性舗装

熱帯夜の抑制

東京都の実測によると、熱帯夜の夜間(22-5時)の路面温度を比較すると、遮熱性舗装を施した車道の表面温度は一般車道より平均約2.0℃低いということです。

(参照)雑誌舗装 51-5(2016年)斉藤氏

わだち掘れの抑制

最近のアスファルト道路は改質剤というものが混合されており、以前に比べると高温化による流動性は少なくなりました。筆者のように映画の「三丁目の夕日」の時代に育った世代では、夏にアスファルト道路がぐにゃっと柔らかくなる経験がありますが、最近ではアスファルトに改質剤というものを添加したりして随分と改善されています。しかし、それでもアスファルトは50℃以上になると流動性が増えて(柔らかくなって)、車道の走行路部分にわだち掘れが出来やすくなります。遮熱性舗装を施した道路では、50℃以上になりにくいので、わだち掘れの発生を抑えることが可能になるのです。

一般の車道に限らず、空港の誘導路でも効果があったという事例があります。数百トンもある旅客機が頻繁に走行する誘導路には大きなわだち掘れが出来てしまうのが一般的ですが、遮熱性舗装を施した誘導路ではわだち掘れの深さが二分の一以下に抑えられ、しかもその効果が4年以上も持続することが確認されています。

(参照)土木学会第65回年次学術講演会論文2010年 吉中氏他

道路の耐久性の向上

一般的に車道の平坦性が一定の数値以上に損なわれた場合にはアスファルト舗装の打ち直しになります。前述のとおり、遮熱性舗装によってわだち掘れが減ることから、アスファルト舗装の打ち直し期間を延ばすことが可能になります。

首都高速道路

首都高速道路ではレインボーブリッジを過ぎた後の下り勾配で、わだち掘れができ、更にわだち掘れの凹みに亀裂が生じて毎年何度も緊急補修されていたそうです。それが、遮熱性舗装を施した翌年は緊急補修が全く無くなったとのことです。アスファルト舗装の内部温度が60℃から45℃に下がったことがその理由とのことです。

(参照)雑誌舗装 49-2(2014年) 藏治氏

補修工事による渋滞が減るということは、渋滞による経済的損失も減らせることができるといえそうです。

景観の向上

遮熱性舗装はアスファルトなどの舗装の上に耐久性の高い専用の遮熱塗料を散布するものです。遮熱塗料は近赤外線を反射しつつ、可視光線は望まれる色に調色することが可能ですので、用途によって様々な色を提供することができ、公園では自然色に合わせたり、交差点付近では注意喚起のためのベンガラ色(赤茶色)などにすることも可能です。

遮熱塗料は途によって様々な色を提供

遮熱性舗装の留意点は?

滑り抵抗性の確保

舗装に最も求められる性能は安全性です。車道においてはスリップによる事故が起こらないように滑り抵抗性を確実に確保することが重要です。
一般的に英国の道路研究所で開発された試験器(ポータブルスキッドレジスタンステスター)にて測定します。この試験機で測定した値がBPN値(すべり抵抗値)です。
測定する舗装材に散水して、振り子の先に取り付けられたゴム製のスライダーを反復運動させて、道路の測定面と接触し滑り抜ける時に生じる抵抗を目盛りで読み取ります。その他にも、日本で開発された方法で、一般には「DFテスター」と呼ばれている測定器や特性試験車で測定する方法などがあります。

DFテスター

路面温度上昇抑制舗装研究会では遮熱性舗装の滑り抵抗性はBPNで車道においては60以上、歩道においては40以上を推奨しています。

速乾性

道路工事は渋滞を引き起こし、時間のロスに伴う経済的損失を生じてしまいます。渋滞を最低限に抑えるために、遮熱性舗装の施工はできるだけ短時間で行うことが要求されます。車道用に使用されている遮熱塗料は2液タイプの超速乾性を持ったものが使用されています。

耐久性

遮熱塗料のはがれにくさを測定する方法が考案されています。「ねじり法」と「打撃法」の2種類による剥がれ面積を測定することによって、遮熱性舗装の耐久性を担保することとなっています。

温度低減の持続性に関しては、東京都では2008年から本格導入され2014年度末までに65kmも施工されてきましたが、施工後5年経過しても約7~9℃の路面温度の抑制効果が持続しているということです。

(参照)雑誌舗装 51-5(2016年)斉藤氏

また、国土交通省 関東地方整備局において2003年に試験施工された遮熱性舗装は、9年経過した2012年時点でも10℃以上の高い温度低減効果があったと報告されています。

施工時の臭気

開発当初の遮熱性舗装にしようされていた遮熱塗料は独特の臭気があり、歩行者や周辺住民の方々の快適性を損なうということで、現在では改良された低臭タイプのものに変更されています。

騒音問題

東京都などでは車両の走行音を抑えることができる低騒音排水性舗装が多く採用されています。この排水性舗装に遮熱塗料を塗布しても騒音が増えることは一切ないことが確認されています。

遮熱性舗装ってどんなところに使われているの?

重交通車道

遮熱性舗装が使われている例 重交通車道

生活道路

遮熱性舗装が使われている例 生活道路

駐車場

遮熱性舗装が使われている例 駐車場

歩道

遮熱性舗装が使われている例 歩道

公園・遊歩道

遮熱性舗装が使われている例公園 遊歩道

その他

遮熱性舗装が使われている例

反射した光ってどこに行くの?

反射した光が周囲の壁を温めたりしないの?

遮熱性舗装に再帰性反射がある場合には、太陽エネルギーが来た方向に反射する割合が多く、周辺への影響は無いと言われています。また、再帰性反射が少ない遮熱性舗装でも、反射は鏡のように正反射するのではなく拡散反射なので、入射側の反対側にある建物などを温めたりする可能性は低いと考えられます。
尚、日本のCASBEE(建築環境総合性能評価システム)や米国のLEEDなどでは、建築物の環境負荷を考える上で、敷地内の舗装部分を遮熱性舗装にすることは評価ポイントが加点されることになっており、総合的に環境にやさしい対策と考えられています。

歩いている人が暑くならないの?

遮熱性舗装によって生じる日射反射による歩行者への熱負荷の影響は見られず、路面温度差による輻射熱及び顕熱の違いを体感(暑さ)として感じる傾向にあるようです。

(参照)第27回日本道路会議(2007年)井上氏他

また、被験者の表面温度を測定した結果でも、一般舗装上より遮熱性舗装上の被験者の表面温度の上昇が少ない結果となっています。

(参照)第32回日本道路会議(2017年) 西岡氏他

反射した光が空気を温めないの?

地表に注がれる太陽エネルギーはオゾン、酸素、水蒸気などによって一部が吸収されています。遮熱性舗装で反射された近赤外線は、ほんの僅かは水蒸気などに再吸収されますが、殆どはそのまま宇宙に反射されると考えられます。一方、地表で吸収され高温化した道路などから放射される遠赤外線は空気層で吸収されるのでヒートアイランド現象や地球温暖化現象の原因の一つになると考えられます。
尚、氷河期は地表が日射反射率の高い氷や雪で覆われていたために、殆どの太陽エネルギーが地表で反射され宇宙に戻ってしまったために極寒の気象が続いたと考えられます。

遮熱性舗装にはどんな塗料が使われているの?

当社が扱っている遮熱性舗装用の遮熱塗料には以下のような種類があります。

ポリウレア樹脂塗料

二液硬化型超高耐久性
低臭
重交通車道用

MMA樹脂塗料

二液硬化型高耐久性
低臭
重交通車道用

ポリエステル樹脂塗料

水系一液
低臭
中交通道路用

アクリル樹脂塗料

水系一液
低臭
歩道系道路用

遮熱性舗装を施工するにはどうすればよいの?

遮熱塗料のパイオニアである当社にご一報ください。
全国どこでも施工できる道路会社様をご紹介させていただきます。

株式会社ミラクール

株式会社ミラクール
https://miracool.jp/item/item-for-road/